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Art,Books,Culture in Tokyo,in Japan

トランスレーションズ展 『わかりあえなさ』をわかりあおう 21_21DESIGN SIGHT Exhibition

雨の日の朝、六本木のMidtown Garden。

朝イチ10時からの予約を入れ、本展覧会に。

 

トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう へ

企画展ディレクターはドミニク・チェンさん。21_21DESIGN SIGHT Exhibitionにて開催しています。テーマは「翻訳」。言語畑に限らず、2つの異なる環境下の他者間コミュニケーション全般の翻訳でした。分かり合えなさ、言葉にできなさを翻訳でどうアプローチするかに焦点当たった作品が並びます。

 

翻訳はローマへ渡った際は知識と文化の譲渡事業だったものの、現代は翻訳が個人体験にまで降りてきて、視点を増やす要素が増えている印象を持ちます。翻訳装置は辞書に留まらず、他者間のコミュニケーションそのものを変えていくような動きあって面白いです。いくつかご紹介。

 

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《Found in Translation》Googled Creatively Lab

 スペースには一台のマイクが置かれていました。木壇に据えられたマイクは国連総会のようです。その前に立つとランダムに質問が投げかけられて、同時にその回答が瞬時に翻訳されます。自分が立った時の質問は「友情で大切なことは?」でした。視覚的に現される言葉は違えど、同じ回答を各国が発しているかのように表示されます。この配置、敵対国のフォントと場所が近接してたら面白いですね。複数の言語が同時に翻訳される場に居合わせるシーン案外なかったなとも思いました。

 

 

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《Ontenna》本多達也



音の聴こえない方でも音を感じるデバイスです。60dB~90dBの音を256段階の振動と光の強さに変換。タップダンスの音を楽しむ様子などが映像流れていました。


耳で聴かない音楽会ダイジェスト

バイスどこかで見たなと思ったら、落合陽一さん×日本フィルで行われていた、耳で聴かない音楽会で使われていたものでした。グレイトフル・デッドもコンサート時に風船で振動を伝えることしています。

改めてAttics Of My Lifeの歌詞も思い出す。

Bent my ear to hear the tune
And closed my eyes to see

聴覚情報を疑似的にも再現して音楽、音を楽しむ。多分体験としては耳で聴くのと違うものの、可聴域はそもそも日々変動するものですし、聴く翻訳の好きな事例です。

 

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Lost in Translation:An illustrated Compendium of Untranslatable Words》

Ella Frances Sanders

 

翻訳できない世界のことば、のスペースも面白かったです。一語で翻訳出来ない言葉が並びます。

COMMUOVERE イタリア語で、涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる。木漏れ日 日本語。 

気候、風土、環境で対象物としては同一でもそれが含む意味合い違ったり、同じ言葉背景でもピジンみたいに違う言語体系が生まれたりはあります。

 

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《Institute for Inconspicuous Languages:Rading Lips》シュペラ・ピートリッチ

植物の気孔の開閉を機械学習用いて「読唇」する…植物の言語を確立してしまう試みです。翻訳によって共通のコミュニケーションが成し遂げられた、と見えてもどちらかの解釈でそう見えているだけですよ、という問題を最後に突きつけられた感ありました…試み面白い、小学生の時確かに口に見えました。

 

分かり合うまで「話す」が翻訳の唯一解でない、色々なアプローチに触れました。

展覧会は2021年3月7日まで。

www.2121designsight.jp

 

 

バンクシー展に行って来た話

横浜にいく予定があり、バンクシー展 天才か反逆者か」が開催されていたため立ち寄りました。
時期が時期なだけに、予約制。ふと開催されてるの思い出し調べたら残1名残っていて。
こういう時にお一人様は便利です。しかし誰かと行きたい、アート仲間永遠に募集。

 

バンクシーは大学生の時に、Rage, the Flower Throwerの作品から知った。

publicdelivery.org

イスラエルパレスチナを隔てる壁に書かれた作品。2005年にエルサレムでおきたデモ隊とゲイパレードの参加者の刺傷事件に対して、武器によらない紛争解決を願うもの。宝島社がコロナに関して「最後は勝つ。上がダメでも市民で勝つ。」とこの作品使ったのですが、ちょっと作品本来のイメージとズレる。


渋谷のUPLINKで観た映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』では、現象としてのバンクシーに関して触れて、それ以来特に関心あるアーティストです。


映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』予告編

ストリートアーティストで好きなのが、アメリカではJR、イギリスではバンクシーいずれも社会問題に焦点当てた作品が多くあります。

 

企業ロゴ、アイコンを使った社会風刺も多く、一見すると面白い主題使われたコミカルな絵でも、謳ってる内容は重い。ステンシルで型からスプレーされ、数十分で世に放たれます。

 

「アートの役目は人々に議論を促し、社会の問題を明らかにすることだ。」

 

社会風刺的な作品、メッセージが「誰に」向いているのか考えると。その問題に対して無自覚であるなと、人々へ向いているものだと思います。似たアプローチとしての抗議、デモが、問題を社会に認知させる手法としてあるのは分かりつつ、アート作品を通じての広げ方はもっと鮮やかで、心への刺さり方がもっと静かで鋭く強い。

 

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Pillow Fight

再現されていました。イギリスで毎年開催されているナショナルイベント。
イスラエルパレスチナの人々が平和的に争えることを願って。

 

 

 

www.huffingtonpost.jp

Game Changer

罹患前後で態度が大きく変わったボリス・ジョンソン首相に触れているという話もあります。
マスク着用をネズミに訴えかけさせる作品も最近出している。相対する勢力との対立を描くことが多いバンクシーも今回はエールを送る作品が続きます。

 

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横浜では9月27日まで。

banksyexhibition.jp

 

Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2020年 3月号 [バンクシーとは誰か?]

 

 

 

ALL NIGHT SHORTS @THEATER ZZZ

先日、夜通し行われるショートフィルムの上映会に行きました。夜22時スタートで朝4時まで、20本以上の作品盛りだくさん。

ブリリア ショートショートシアター オンライン
エッジ効きすぎてここに公開しなかった作品を一夜公開するもの。

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この2作が特に好きでした。

NELLY

http://www.nelly-short.com/

雪の中で場面が転々として脈絡なく?が続いた後で、
最後に一つに繋がっていくのが鮮やかで。
6分59秒の作品。


LA FEMME ET LE


La femme et le TGV - Festival Trailer (HQ)

スイスのTGVに向かって旗を振り続けていた女性を巡るフィクション。

 

ショートフィルム好きそうな方々が集まっていました。
夜の過ごし方としてとても贅沢。

QUEEN IN THE PARK へ行ってきました @銀座

Ginza Sony Parkは銀座に行く度、ふらり立ち寄る場所。銀座駅直結の変わり続ける公園をテーマにしたスペース。現在は誰もが知るQUEENの音楽を「体験」できるプログラムが開催されています。

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彼らの曲に焦点を当てた作品が並びます。入り口には"WE WILL ROCK YOU"。階段を下るステップに合わせて、あのリズムが流れます。

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"BOHEMIAN RHAPSODY"のMVに、自分の顔が映ったり。

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”ANOTHER ONE BitES THE DUST”の10メートル超のプロジェクションでは音と自身の影が組み合わさります。SONYの開発した"Fragment Shadow"が利用。

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音のVR"Sonc Surf VR"も体験しました。音の「体験」が単に受動でなくて、映像絡めて「重なる」要素が多かったのが面白い。空間でまるっと体験者を囲って演出する場合と、コンテンツの中に組み込ませるやり方と、「体験」にも様々と思いました。

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募金をすると楽曲を選べるジュークボックス。映画の中でしか見たことないけれど、「選曲」を来訪者ができる場所って増えていいですよね。家を一歩外に出て、自分で環境音選べる空間ってカラオケぐらいしかパッと思いつかない。

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開催は2020.1.22(Wed)-3.15(SUN)まで。無料でふらっと入れるので、銀座に向かわれる方はおすすめです。



盒馬鮮生のお話。

お久しぶりです。
2019年入った当初から今まで、会社外でも多くのことをさせて頂き。棚卸しも整理もなく取り敢えず飲み込み、持っているものを出すこと繰り返し。「まとめる」こと、小さくも軌跡の形残すことあんまり出来ていなかったので、2020年はしたい。続け、今の気持ち!書く。

 

かなり前になってしまいましたが上海へ参りました。3年ぶりぐらい。
仕事の合間で「盒馬鮮生」に行けたのでまとめ。
EC統合がされたスーパー。


Take a Tour of a Hema Supermarket and Experience "New Retail"

Amazon無人コンビニ、ネットスーパー等、O2Oの文脈でECと距離が近くなる実店舗は増えてます。
2016年に上海から始まったこの盒馬は、この数年で2019年には150店舗以上に展開伸ばしています。

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アリババのネットスーパー「亲橙里」と共に、ジャックマー掲げる「ニューリテール」戦略の中でも語られることが多い。京東の物流責任者、侯毅が立ち上げ、アリババの1億5000万ドルもの投資を受けて出来た異色の経緯。EC上の購買情報、会員情報から店舗の展開戦略もたてています。

 
特徴は、アプリでの注文後、店舗から該当商品がピックされ、30分以内にも配送される早さ。夜21時ぐらいまで配送されるとのこと。店内の頭上にベルトコンベアがあり、商品行き交います。あ、ちゃんとコンベアあるな、と思いました。

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 「日日鮮」という、いつ作られたものなのかがパッケに明記された独自ブランドも強みです。鮮度良い生野菜、卵ってなかなか手に入らなかったので、やや高めですが健康志向高い層には人気だそう。

 

生け簀もあります。黒い服の方はどなたでしょう。
撮ったのが携帯とはいえ、一眼レフを所有している人間が撮影した写真とは信じられません。
 

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その場で買ったものを調理してもらい、隣接するイートインコーナーですぐ食べられます。1元16円ぐらいです。なぜ縦写真!

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イートインはないものの、野菜生鮮食品に特化した店舗「盒馬菜市」。コンビニに近い形態で、オフィスワーカー向けの店舗「盒馬F2」など、立地とターゲットによりブランドを変え、展開しております。

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似たコンセプトの競合サービスも沢山。腾讯のドローンデリバリーも昨年始めた「超級物種」、百聯の「RISO」、京東の「7FRESH」などなど。注目ですね。

 

日本ではクラシルのdely、2013年早くにもオムニチャネル戦略うたっていた、イオンとヤフーのその後にも注目です。(オムニチャネル戦略ってなつかしみ溢れる・・・)

 

店舗とネットの融合、という流れはあるものの、EC部門とリアル部門では職掌、予算も別部署であることが多く、全体戦略の中でがっつり取り組めている印象にはあまりない。集客どうすっかの部分だけでO2O設計すると、まだ中国ほどには動けなさそううかなと思います。・・もうO2Oとかも古い言葉なのかもですね。 

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耳目集め五感刺激し、何かの欲を乗せたお金の動きはチャネルは問わぬものと思っております。あまりゆっくり出来なかったので、また上海は2年に一回ぐらいは行こうと思います。古巣。

 

 

事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

 

 

 

 

2月6日(水)まで。落合陽一展覧会 『質量への憧憬』へ参りました。

落合陽一さんの展覧会『質量への憧憬』が開催されています。

NewsPicksの動画を観ていて知り、おぉここで!と思った好きな空間。場所は天王洲のIMAプロジェクトが運営するIMA gallery。

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「質量への憧憬」と題された本展。写真がデータとして流通する昨今、メディアアーティストとも語られる落合さんが開く写真展。

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プリントされた写真もデーブル上に置かれておりました。ヴォルフガング・ティルマンスのデスクトップタイプ想起したり、データとしての写真、物質としての写真をぐるぐる考えながら回った展覧会でとても楽しみました。

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写真だけでなく、会場内には8kのディスプレイ使った作品も並びます。

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 写真の主題には、何気ない日常風景が広がります。時系列でこの前後何が起こるのか、空間的にはこのフレームの外に何があるのかを想像するのはやはり楽しい。


最近だと、LivePhotoで映像の一コマになった写真や、GooglePhotoではAI最適化された写真もあります。どんどん形式が画一化されて、ファウンドフォトのようなものはあまり見なくなりました。それでもphotographの語源は photo「光」graph「書かれたもの」。写真はそもそも媒体問わないもだろうなと思った一日。

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オリジナルブレンドコーヒーもございました。ぜひおすすめです。明日2月6日(水)まで。

落合陽一展覧会「質量への憧憬」

会期:2019年1月24日(木)~2月6日(水)
時間:11:00~21:00
会場:amana square(sessionhall/IMA gallery/IMAcafe)
〒140-0002品川区東品川2-2-43 T33ビル1F
入場料:無料
主催:株式会社アマナ、落合陽一

shitsuryou2019.jp

十和田市現代美術館へ旅する

十和田市現代美術館

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フラワー・ホース  チェ・ジョンファ

十和田に向かったのはこの美術館が目的でした。2008年に開館したこちらは一つの作品に一つの展示室が与えられている現代美術館。

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スタンディング・ウーマン ロン・ミュエク

入り口に入ると巨大な女性。ドレープから毛髪まで細かく再現。

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光の橋 アナ・ラウラ・アラエズ

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ザンプランド 栗林隆

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この作品が圧巻でした。椅子を登って天井の穴を覗き込むと別の展示空間が広がります。神秘的なビオトープのような空間にはスモークが炊かれていて、一度に一人でしか楽しめないからこそ没入感より感じます。

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オン・クラウズ (エア-ポート-シティ) トマス・サラセーノ

サラセーノは以前から見知っていました。クモの巣、泡、雲をモチーフにした作品で知られています。高度経済成長へ警鐘を鳴らして、社会があるべき多様性と共生の姿の表現を、建築学的アプローチで試みるアーティストです。梯子を登って少し手間をかけるとバブルの中も見られます。

 

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毛利悠子 墓の中に閉じ込めたのなら、せめて墓なみに静かにしてくれ for V.T.

レスリースピーカーが印象的でした。これだけ大型なものは初めて観ました。音の発生源はその位置によって、ピッチを常に変化させます。ハモンドオルガンの付属品として作られたこのスピーカーを使ったインスタレーション、空間内の音のグラデーションが心地よいです。

企画展は3月まで。是非どうぞ。


毛利悠子 ただし抵抗はあるものとする
2018年10月27日(土) - 2019年3月24日(日)

 

towadaartcenter.com

 

十和田市現代美術館

〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9
TEL: 0176-20-1127
FAX: 0176-20-1138