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「人類滅亡小説」山田宗樹 読みまして

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SFにも近未来や宇宙モノのように、異世界の中なお通ずる、人間性描写を楽しむものと、あくまで現実世界に即して、一つの設定だけ外したSFと双方あって。

 
山田宗樹さんの作品はどちらも楽しめます。百年法から知って作家読みをしていて。出版年遡って読み進めていてもまだ全著書の3分の1ぐらいしか読めていないですが、新作が出ていて二度見した。

 

1日で読んでしまった。
内容はサスペンス要素も加えたもの。とても長い期間を書いている。
突如出現する赤い雲が巻き起こす終末物語。社会がどう反応して現象として何が起こっていくかがリアルで。実際に起こったことを暗喩していたり、完全にフィクションとは言い切れない箇所も多いんですよね。

  

死に相対した時に個人がどう向き合うか、小グループがどう作用するかは描写として多い。けれど集団全体に及ぶと一気に実態がぼやける。だからこそ絵としてインパクトある題材が必要で、終末物語系はゾンビウィルスか、隕石か、宇宙人かってなりがち。バイオザードもアルマゲドンも見ていた世代だから、文字でも絵として想像できるけれど、日常溶け込む雲っていいよね。

 

 雲が社会に影響することなんてあまり考えないけれど、金沢にいた時はかなりの確率で曇天で、都内快晴多い!って晴れやかになったっけ。


本の中では「世代」の話も出て来ます。
世代を繋ぐことの意味って考え方は、親と子ではよく描かれるけれど、3世代超えるとなかなか現れないな。時間飛ぶと、伏線回収ちょろっとあって、別個の物語として話される本も多いけれど、この本は骨太一本通っています。

人類滅亡小説

人類滅亡小説